あの金沢メンネルコールから定演の案内が
いつも興味深いステージ構成で、ご案内をいただくたびに聴きに行きたいと思っていた金沢メンネルから、今年も早々に定演の案内があった。今年はナント、下記の3ステージ構成である。1stステージ「スウェーデンの合唱曲より」
2ndステージ「唱歌の四季 ~三善晃 編~」
3rdステージ「バーバーショップの世界XVIII(18)」
現在の日本で、こんなス魅力的なステージ構成の定演をやる男声合唱団が他にあろうか?
日本の男声合唱団は
また、いつもの独断と偏見で意見を言うのか、との声が聞こえてくることは承知の上で言うならば、日本の男声合唱団の高齢化が進み、団員数が減っている状況を論じる時のマイナスの意味の要因は、(他にもあったら教えて欲しいのだが)以下のようなものだろう。・ 組曲主義
・ 邦人作品偏重
・ 直立不動・無表情
・ 好評な曲でも再演まで間遠
要は、 合唱団と団員に、聴衆を楽しませようと言う意識が薄いか、無いと言えよう。
金沢メンネルの定演
今回の定演のステージを見ると、前記のマイナス要因に当てはまらないことが分かる。1stステージの「スウェーデンの合唱曲より」
スウェーデンからこれまで4回来日しているオルフェイ・ドレンガーの演奏を聴いた日本の合唱人はたくさんいる。聴いて素晴らしいと思っただろうに、スウェーデンの合唱曲を歌う日本の合唱団は、何故かとても少ない。
3rdステージの「バーバーショップの世界」
以前にもこの団の演奏会で何度か聴いたバーバーショップで、時には、合唱活動をやっていないような若いカップルが客席で喜んでいる光景を見たことがある。そして、日本第一のバーバーショップの指導者 広瀬康夫の指揮で18回を迎えるという演奏だから、これは見逃せない。聴衆に受けるバーバーショップ・ハーモニーだが、毎年の定演でバーバーショップを取り上げている一般の男声合唱団は、金沢メンネルを含めて、日本中でたった3合唱団だけ。これは、「邦人作品偏重」と「外国語嫌い」のためだろうが、聴衆のためにはとても残念なことだ。
2ndステージの「唱歌の四季 ~三善晃 編~」
組曲と言うよりは、アラカルトといった趣(おもむき)だろう。聴衆にとっては、気軽に聴けるのが良い。あとは、聴衆から見て、楽しそうに歌えるかどうかが見どころだが。
組曲を歌わないのは正解
組曲と言えば、定番の清水脩や多田武彦の作品を並べる合唱団が多い。歌い慣れ、聴き慣れているし、素晴らしい組曲があるのは否定しない。歌い継がれ、今まで残っている作品だから、私も大好きな組曲がある。しかし、4ステージ構成の中の1ステージに、時には2ステージに、組曲をあてる合唱団があるが、再演するまでに数年かける傾向があるから、そのうちに良い組曲は歌い尽してしまう。その結果、近年発表された、歌詞は長く、メロディやハーモニーにはあまり魅力が感じられず、そして、再演したいと思わないような組曲でも、仕方なく(かどうかは聞かないから分からないが)選ぶ合唱団がある。この演奏を聴いた聴衆も楽しめずに辟易してしまうという、聴衆の気持ちを無視したような例もある。もし、組曲中にどうしても歌いたい曲があるなら、1ステージを1組曲にあてずに、何かテーマを決めて、いくつかの組曲からテーマに適合した曲を選び、組合わせて歌うのが良いのではなかろうか。これなら、組合わせテーマはいくらでも出来る(作れる)から、歌いたい曲を毎年歌っていてもネタが尽きることは無いし、この方法なら、歌いたい曲があれば、(屁)理屈を付けてでも、何度でも歌うことが出来るではないか。
このように考えたステージ作りをすれば、テーマはいくらでも工夫が出来るのだから、定演プロジェクトの委員ほど楽しい役は無いことが実感出来るだろう。
そして、パフォーマンス
どんな合唱曲だって、歌詞の内容、それに合ったメロディとハーモニー、それらが組合わされた素晴らしい曲を歌えば、歌っている合唱団員の心の中にだって、喜怒哀楽の感情が生まれるはずだ。ところが何故か、ステージ上の日本の合唱団員は、どんな内容の曲でも、顔の表情すらほとんど変えずに、体を揺らすなんてとんでもない、と言った感じで歌うのだ。そんなことなら、チケット代を払い、交通費をかけてわざわざ演奏会場に行かなくても、CDを買って、上手に編集された、ミスの無い演奏を家で聴いているほうがあマシではないか。
演奏会は、やはり、合唱団員が、気持ちを込め、感情がつい表情に現れ、身体がつい揺れて歌っている、そんな様子を観ながら聴衆は、団員の気持ちに共感しながら、曲の内容を実感しながら演奏を聴く、というのが舞台芸術としての合唱の姿ではなかろうか。
期待が持てる演奏会
そう、11月3日の金沢メンネルの定演は是非、聴きに行きたいものだ。
(終)
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